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2024-07-31

猫の慢性腎臓病について┃飲水量や尿量に変化が見られたら受診を

猫と暮らしている飼い主様にとって、慢性腎臓病はよく耳にする病気のひとつでしょう。この病気は高齢の猫に多く見られ、腎臓の機能が徐々に低下していきます。
慢性腎臓病の原因としては、遺伝的要因、食事の影響、感染症、慢性的な脱水状態、そして加齢などが挙げられます。

今回は、猫の慢性腎臓病について、原因や症状、治療方法などを解説します。

猫の慢性腎臓病とは?

腎臓は、不要な老廃物や毒素を尿中に排泄したり、血圧を調整したり、赤血球の生成に関わるなど、体にとって重要な働きを持つ臓器です。
慢性腎臓病は、この腎臓の機能が徐々に低下することで体にさまざまな症状が現れる病気です。

猫は慢性腎臓病にかかりやすく、年齢とともにリスクも高くなります。その理由として、以下の点が挙げられます。

ネフロンの数が少なくなる:腎臓の組織である「ネフロン」が少なくなり、腎臓の負担が大きくなります。

AIMの活性化が低くなる: 体内の老廃物を掃除するAIMというタンパク質が活性化しにくく、腎臓に老廃物が溜まりやすいです。

原因

慢性腎臓病が多発するはっきりとした原因は解明されていませんが、以下の要因が発症に関与している可能性があると考えられています。

高タンパクな食事:高タンパクな食事は腎臓に負担をかけやすいです。

水をあまり飲まない:猫は積極的に水を飲む習性がなく、これが腎臓に負担をかける原因になります。

腎炎などの腎臓の病気:腎臓そのものが病気になる場合です。

細菌やウイルス感染:感染症が腎臓にダメージを与えることがあります。

中毒:薬や有害な物質を摂取することで腎臓が傷つくことがあります。

自己免疫疾患:免疫系が自分の体を攻撃してしまうことで腎臓に影響が出ることがあります。

外傷による血流の低下:事故や怪我で血流が減り、腎臓に影響が出ることがあります。

遺伝:遺伝的な要因も関係しています。

症状

慢性腎臓病は、その進行度によってステージ1からステージ4に分類され、ステージが進むにつれて症状も変わり、進行します。

<ステージ1>
この段階では特に目立った症状はありません。腎臓の機能が少しずつ低下しているものの、まだ体に大きな影響は出ていません。

<ステージ2>
初期の症状として、多飲多尿(たくさん水を飲んで、尿の量が増える)が見られます。この段階ではまだ比較的軽度で、注意深く観察することが大切です。

<ステージ3>
この段階になると、尿毒症の症状が現れ始めます。具体的には、食欲の低下や嘔吐が見られることがあります。また、全体的に体調が悪化してきます。

<ステージ4>
末期の状態で、生命維持が非常に難しくなります。この段階では、腎臓の機能がほぼ完全に失われており、緊急の医療対応が必要です。

診断方法

慢性腎臓病の診断には、以下の方法が用いられます。

血液検査:血中のBUN(尿素窒素)やクレアチニン、リンなどの数値を確認します。これらの数値が上昇している場合、腎臓の機能が低下している可能性があります。

尿検査:尿の濃縮力やタンパク尿の有無などを調べます。これにより、腎臓の状態をさらに詳しく把握できます。

画像診断:レントゲンやエコー(超音波検査)を使って、腎臓の形態や構造を確認します。腎臓の大きさや異常な構造がないかを調べます。

これらの検査を総合的に行うことで、正確な診断が可能になります。

治療方法 

慢性腎臓病の治療には、点滴による水分補給と血流の維持が重要です。できるだけこまめに行うことが大切で、獣医師との相談のもと飼い主様が自宅で皮下点滴を行うこともあります。
また、症状に応じて老廃物を吸着させる薬を併用し、腎臓の負担を軽減します。

さらに食事療法も重要です。腎臓病専用の療法食を使うことで、腎臓にかかる負担を軽減できます。この療法食は、主にタンパク質、リン、ナトリウムの含有量が特別に制限されているため、腎臓の機能を保護し、さらなる損傷のリスクを減少させるのに有効です。

予防法やご家庭での注意点

慢性腎臓病を確実に予防する方法はありませんが、愛猫にたくさん水を飲ませる工夫は、健康を保つためにとても重要です。加えて、塩分量が高いおやつや人間の食事は与えないようにしましょう

慢性腎臓病は、早期に治療を開始すれば比較的長期間にわたって病気と上手に付き合うことができます。
普段から愛猫の飲水量や排尿量をよく観察し、もし多飲多尿の症状が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。

まとめ

猫が元気に長生きするためには、慢性腎臓病をできるだけ防ぎ、もし発症しても進行を遅らせることが大切です。
定期的な健康診断を受けることはもちろん、普段から気になることがあればすぐに動物病院に相談しましょう。



東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】

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