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2025-04-24

【下丸子の獣医師が解説】犬・猫の年齢別健康診断|症状が出る前に気づく“予防医療”のすすめ

大田区、下丸子、矢口を中心に幅広い動物の診療を行う「まるこ未来動物病院」です。

「うちの子は元気だから大丈夫」そう思われている飼い主様も多いのではないでしょうか。しかし、犬や猫は、体調の変化を言葉で伝えることができないため、症状が現れたときにはすでに病気が進行していることも少なくありません。

だからこそ大切なのが、“症状が出る前に異変を見つける”ための定期的な健康診断です。実際、血液検査や画像診断によって、見た目ではわからない病気が早期に発見されるケースも数多くあります。

今回は、犬や猫のライフステージ別に、健康診断の目的や検査内容について解説します。


子犬・子猫期(〜1歳)|成長と体調の“土台”を確認する大切な時期

成長期であるこの時期は、身体の基礎が作られる大切なステージです。健康診断では以下のようなポイントをチェックします。

・発育状態(体重・骨格・歯など)の確認
・先天性疾患の有無の確認(心雑音・膝蓋骨脱臼など)
・ワクチン接種スケジュールの調整
・寄生虫の検査と駆除

特に、ワクチン接種前の健康チェックはとても重要です。健康診断を通じて、安全に接種できる状態かを確認します。

犬と猫のワクチン接種についてはこちらで解説しています

また、子犬・子猫の時期には、下痢や発育不良などのトラブルが起こりやすく、小さな異変を早めに察知するためにも、早期の健康チェックが大切です。


成犬・成猫期(1〜7歳)|見えにくい変化を逃さず、“習慣化”が鍵に

一見元気に見えても、内臓の機能や代謝に変化が出てきやすいこの時期。病気のリスクは少しずつ高まっています。健康診断では次のような検査を行います。

・全身の身体検査
・血液検査
・尿検査
・糞便検査
・犬種・猫種ごとに多い病気に対するチェック

特に、肝臓や腎臓などの内臓疾患や生活習慣病の早期発見に役立つ検査が中心となります。
また、繁殖を考えている場合には、遺伝性疾患や生殖器の健康状態もあわせて確認します。

犬と猫の肝臓病についてはこちらで解説しています

この時期は体調の変化が目に見えにくいため、年に1〜2回の定期的な健康診断が推奨されます。肥満や生活習慣病の早期発見にもつながります。


シニア期(7歳以上)|病気のリスクが高まるからこそ、こまめなチェックを

人間と同じように、犬や猫も7歳を過ぎると加齢に伴って体の機能が低下し、慢性疾患や腫瘍性疾患のリスクが高まっていきます。

この時期には、以下のような病気の早期発見が特に重要です。

・慢性腎臓病
・心臓病(僧帽弁閉鎖不全症、心筋症など)
・高血圧、糖尿病、甲状腺機能の異常
・がんや腫瘍性疾患

猫の慢性腎臓病についてはこちらで解説しています
猫の心筋症についてはこちらで解説しています
猫の甲状腺機能亢進症についてはこちらで解説しています

そのため、それまでの検査項目に加え、次のような検査が必要になることもあります。

・レントゲン検査
・腹部エコー検査
・血圧測定・心電図・眼圧測定などの特殊検査

さらに、高齢になると関節痛や不快感を我慢して生活している犬や猫も多く見られます。
健康診断では「生活の質(QOL)」を守るための視点からもチェックを行います。必要に応じて、痛み評価や認知機能不全の確認なども実施します。

犬と猫の変形性関節症についてはこちらで解説しています

シニア期には半年に1回の健康診断が理想的です。こまめなチェックを重ねることで、病気を早く見つけ、負担の少ない治療につなげることができます。


健康診断で行われる主な検査とその意義

ここでは、一般的な健康診断で行われる検査と、それぞれの目的を簡単にご紹介します。

◆身体検査
体重・体温・皮膚・目・耳・歯・触診などを通して、外からわかる異常がないかを確認します。日頃の変化に気づきにくい部分もチェックできます。

◆血液検査(CBC・生化学)
貧血や炎症、感染症、内臓の健康状態(肝臓・腎臓・膵臓など)を数値で確認します。病気の早期発見や、年齢に伴う機能低下を把握するのに役立ちます。

◆尿検査
腎臓や膀胱、尿路の状態、糖尿病の兆候などがわかります。腎機能は数値変化が出にくいため、尿検査とあわせて確認することで精度が高まります。

◆糞便検査
消化管内の寄生虫の有無や、腸内環境の状態を確認します。特に子犬・子猫では重要な検査です。

◆レントゲン検査
心臓や肺、骨、関節、臓器の位置や大きさ、異常がないかを画像で確認します。

◆エコー(超音波)検査
お腹の中の臓器(心臓・肝臓・腎臓・膀胱など)の状態や、腫瘍や結石の有無をチェックします。痛みを伴わない検査なので負担が少ないのも特徴です。

◆心電図・血圧測定・眼圧測定(必要に応じて実施)
心疾患や高血圧、緑内障など、加齢に伴って増える疾患の早期発見に役立ちます。

このように、健康診断ではさまざまな検査を組み合わせて、愛犬・愛猫の「今の健康状態」と「将来のリスク」をチェックします。症状が出る前に異変に気づくためにも、定期的な健康診断の活用をおすすめしています。


健康診断結果の活用方法

健康診断の目的は、現在の健康状態を把握するだけではありません。検査結果を正しく理解し、生活や治療に活かしていくことで、愛犬・愛猫の健康を長く守ることができます。

<検査結果の見方と「基準値」の捉え方>
血液や尿の検査には「基準値(正常範囲)」がありますが、これはすべての犬・猫に当てはまる“絶対の基準”ではありません。年齢、犬種・猫種、体格、既往歴などによって、適正な数値には個体差があります。

そのため、数値が少し外れていたからといってすぐに異常と判断するのではなく、獣医師がその子の背景を踏まえて総合的に評価することが大切です。

<数値の“変化”を追うことの重要性>
1回の検査では異常といえない微妙な変化でも、前年・前々年の結果と比較することで、将来的な病気の兆しが見えてくることがあります。

たとえば、腎機能の数値が正常範囲内でも、毎年少しずつ上昇していれば、将来的な慢性腎臓病のリスクを早めに察知できる可能性があります。“正常値の中の変化”にこそ、早期発見のヒントがあるのです。

<異常が見つかったときの対応>
検査で異常が見つかった場合でも、必ずしもすぐに治療が必要とは限りません。定期的なモニタリングで様子を見るだけでよいケースも多くあります。
大切なのは「気づかないまま進行する」のを防ぎ、早めに備えられる安心感を持つことです。

<食事や生活の見直しへの活用>
たとえば、肥満傾向がある場合は、食事内容やフードの選び方、運動量の見直しが必要です。健康診断の結果は、治療だけでなく日常生活の改善にも役立ちます。
当院では、検査結果に基づいた生活アドバイスも丁寧にお伝えしています


まとめ|健康診断は「病気になる前に守る」ための第一歩です

健康診断は、犬や猫の年齢や体調に合わせて病気の早期発見・予防につなげるための、大切な医療のひとつです。特に言葉を話せない犬や猫にとっては、症状が出る前に気づいてあげることがとても重要です。

子犬・子猫期:発育や先天性疾患の確認
成犬・成猫期:生活習慣病や隠れた病気の早期発見
シニア期:慢性疾患の予防・管理と生活の質の維持

このように、ライフステージに合わせた健康診断を定期的に続けることで、愛犬・愛猫の健康寿命を延ばすことが期待できます。また、定期的な健診を通じて獣医師と信頼関係を築いておくことで、いざというときにも安心して相談できます。

まるこ未来動物病院では、年齢や体調に応じた健康診断のご提案と、検査結果の丁寧なご説明を行っております。次回の健康診断のご予約も随時承っておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。


東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】
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