
2025-05-29
うさぎにふらつきや首を傾ける様子が見られたら?|エンセファリトゾーン感染症の症状と治療について

大田区、下丸子、矢口を中心に幅広い動物の診療を行う「まるこ未来動物病院」です。
うさぎが突然首を傾けたり、ふらついたりする様子を見ると、驚きや不安を感じてしまいますよね。こうした症状の背景には「エンセファリトゾーン感染症」という病気が関係していることがあります。
うさぎに多くみられるこの感染症は、進行性である一方、初期には非常にわかりにくいサインしか現れないため、気づかないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。
今回は、エンセファリトゾーン感染症の主な症状や診断・治療の流れ、ご家庭でのケアについて詳しく解説します。
<原因となる寄生虫>
エンセファリトゾーン感染症は「エンセファリトゾーン・キュニクリ(E. cuniculi)」という微細な寄生虫(原虫)が原因で起こる病気です。主にうさぎに感染し、神経系、腎臓、目などに障害をもたらします。
感染経路の多くは、尿中に排泄された胞子を口から摂取することによるものです。感染源は、他のうさぎの尿や、汚染されたフード、水、環境などが考えられます。
<日本国内での感染状況>
日本国内でも、エンセファリトゾーンに感染したことのあるうさぎは決して珍しくありません。ただし、すべての感染うさぎが症状を出すわけではなく、免疫力の低下やストレスなどが発症の引き金になると考えられています。
<初期症状>
エンセファリトゾーン感染症の初期には、「少し元気がない」「フードの食いつきが悪い」など、ごく微細な変化しか現れないことも多くあります。この段階で気づくのはとても難しいのが実情です。
<進行とともに現れる神経症状>
病気が進行すると、以下のような特徴的な神経症状が見られるようになります。
・首を傾ける(斜頸)
・ふらつき、転倒
・同じ方向にくるくる回る「旋回運動」
・眼振(目が細かく左右に揺れる)
・後ろ足の麻痺
これらは進行性であり、早期に対応するかどうかで予後が大きく変わる可能性があります。
<重症化すると命に関わるリスクも>
状態が悪化すると、てんかんのような発作を起こしたり、立ち上がれなくなったりするケースもあります。こうした重度の症状は命に関わることもあるため、早めの対応がとても重要です。
梅雨や台風の時期など、気圧の急な変化によって症状が強く出ることもあります。突然ふらついたり、バランスを崩した様子が見られた場合には、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
▼まずは臨床診断からスタート
うさぎの行動や過去の病歴をもとに「もしかしてエンセファリトゾーンかもしれない」と判断する臨床診断が最初のステップです。
▼血液検査で抗体の有無を確認
血液検査では、エンセファリトゾーンに対する抗体があるかどうかを調べることができます。「抗体がある=今発症している」というわけではなく、過去に感染していたことを示している場合もありますが、多くの場合で感染継続している状態がみられます。そのため症状と抗体価を総合的に見て診断する必要があります。
▼他の病気との鑑別
神経症状は、エンセファリトゾーン感染症に限らず、中耳炎や外傷、脳腫瘍などでも起こることがあります。そのため、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を行い、他の病気との鑑別を行うことが大切です。
<診察時のポイント>
神経症状は再現が難しいことも多いため、ご自宅で見られた様子をスマートフォンなどで撮影しておき、診察時に見せることをおすすめします。診断の大きな手がかりになります。
確定的な診断がつかないことも少なくありませんが、疑いがある場合には治療を開始することで、重症化を防げる場合もあります。早めの対応が命を守ることにつながります。
<原因に対する治療>
エンセファリトゾーンに対しては、抗原虫薬(例:フェバンテル、フェンベンダゾール)を使った治療を行います。投薬は数週間〜数ヶ月にわたることもあり、継続が重要です。
<症状に応じたサポート治療>
症状が強い場合には、抗炎症薬やビタミン剤、必要に応じて抗けいれん薬なども併用し、うさぎの負担を軽くする治療を行います。
<副作用と体調の変化に注意>
投薬中は、食欲や元気が落ちていないか、排泄や動きに異常がないかを日々観察することが大切です。副作用や体調の変化に気づいたら、すぐに動物病院に相談してください。
この病気は、治療に時間がかかることも多く、途中で不安になることもあるかもしれません。ですが、飼い主様の見守りと根気強いケアが、うさぎの安心と回復につながります。一緒に頑張っていきましょう。
<安全な生活環境づくり>
ふらつきや斜頸があるうさぎには、滑りにくく、転んでも衝撃を吸収できるような床材(マットやカーペット)を使用しましょう。ケージ内はできるだけシンプルにし、角のあるものや頭をぶつけやすい物は取り除いてあげると安心です。
<食事と水分補給の工夫>
体調不良で食欲が落ちているときは、うさぎ用の流動食を使ったシリンジ給餌も有効です。脱水を防ぐためにも、水分補給はこまめに行いましょう。
<投薬の方法も工夫を>
お薬はシリンジで直接飲ませたり、おやつに混ぜたりする方法があります。うさぎの性格や好みに合った投薬方法を見つけることが、治療を継続するうえで重要です。ご不安な場合は、獣医師にご相談ください。
<ストレスを減らして観察を習慣に>
光や音などの刺激はなるべく控え、静かで安心できる環境を整えてあげましょう。日々の様子を観察し、小さな体調の変化もメモしておくと、異変に早く気づくことができます。
<自己判断は禁物>
市販の駆虫薬などを自己判断で使うのは、非常に危険です。症状がある場合は、必ず獣医師の診察を受けてから治療を始めましょう。
初期のサインは非常にわかりにくく、見過ごされやすいことも多いため、日頃からの観察と早めの相談が何より大切です。また、定期的な健康診断や、安心して過ごせる環境の整備も重要な役割を果たします。
特にうさぎを診療できる動物病院は限られているため、「なんとなく様子がおかしい」と感じた時点で、エキゾチックアニマルに対応している病院へ相談することをおすすめします。
まるこ未来動物病院では、うさぎの診療を行っており、早期診断・早期治療を重視した丁寧な対応を心がけています。
神経症状が見られたときは「様子を見よう」ではなく「何かのサインかもしれない」と受け止めて行動することが、うさぎの命を守る第一歩です。気になることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。
東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】
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うさぎが突然首を傾けたり、ふらついたりする様子を見ると、驚きや不安を感じてしまいますよね。こうした症状の背景には「エンセファリトゾーン感染症」という病気が関係していることがあります。
うさぎに多くみられるこの感染症は、進行性である一方、初期には非常にわかりにくいサインしか現れないため、気づかないうちに悪化してしまうケースも少なくありません。
今回は、エンセファリトゾーン感染症の主な症状や診断・治療の流れ、ご家庭でのケアについて詳しく解説します。
エンセファリトゾーン感染症とは?
うさぎの神経症状の原因としてよく挙げられる病気のひとつが、エンセファリトゾーン感染症です。聞き慣れない名前かもしれませんが、うさぎの間では比較的よく見られる感染症であり、正しい理解が早期対応につながります。<原因となる寄生虫>
エンセファリトゾーン感染症は「エンセファリトゾーン・キュニクリ(E. cuniculi)」という微細な寄生虫(原虫)が原因で起こる病気です。主にうさぎに感染し、神経系、腎臓、目などに障害をもたらします。
感染経路の多くは、尿中に排泄された胞子を口から摂取することによるものです。感染源は、他のうさぎの尿や、汚染されたフード、水、環境などが考えられます。
<日本国内での感染状況>
日本国内でも、エンセファリトゾーンに感染したことのあるうさぎは決して珍しくありません。ただし、すべての感染うさぎが症状を出すわけではなく、免疫力の低下やストレスなどが発症の引き金になると考えられています。
症状と進行の特徴
うさぎの体調変化はとても繊細で、見た目では分かりにくいことも多くあります。エンセファリトゾーン感染症もその一つで、進行性の疾患であるため、初期の小さなサインを見逃さないことが大切です。<初期症状>
エンセファリトゾーン感染症の初期には、「少し元気がない」「フードの食いつきが悪い」など、ごく微細な変化しか現れないことも多くあります。この段階で気づくのはとても難しいのが実情です。
<進行とともに現れる神経症状>
病気が進行すると、以下のような特徴的な神経症状が見られるようになります。
・首を傾ける(斜頸)
・ふらつき、転倒
・同じ方向にくるくる回る「旋回運動」
・眼振(目が細かく左右に揺れる)
・後ろ足の麻痺
これらは進行性であり、早期に対応するかどうかで予後が大きく変わる可能性があります。
<重症化すると命に関わるリスクも>
状態が悪化すると、てんかんのような発作を起こしたり、立ち上がれなくなったりするケースもあります。こうした重度の症状は命に関わることもあるため、早めの対応がとても重要です。
梅雨や台風の時期など、気圧の急な変化によって症状が強く出ることもあります。突然ふらついたり、バランスを崩した様子が見られた場合には、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
診断の進め方|正しい判断と早めの対応がカギ
症状が見られたとき、「本当にこの病気なのかな…」と不安になる方も多いと思います。ここでは、動物病院でどのように診断を進めていくのかをご紹介します。▼まずは臨床診断からスタート
うさぎの行動や過去の病歴をもとに「もしかしてエンセファリトゾーンかもしれない」と判断する臨床診断が最初のステップです。
▼血液検査で抗体の有無を確認
血液検査では、エンセファリトゾーンに対する抗体があるかどうかを調べることができます。「抗体がある=今発症している」というわけではなく、過去に感染していたことを示している場合もありますが、多くの場合で感染継続している状態がみられます。そのため症状と抗体価を総合的に見て診断する必要があります。
▼他の病気との鑑別
神経症状は、エンセファリトゾーン感染症に限らず、中耳炎や外傷、脳腫瘍などでも起こることがあります。そのため、必要に応じてCTやMRIなどの画像検査を行い、他の病気との鑑別を行うことが大切です。
<診察時のポイント>
神経症状は再現が難しいことも多いため、ご自宅で見られた様子をスマートフォンなどで撮影しておき、診察時に見せることをおすすめします。診断の大きな手がかりになります。
確定的な診断がつかないことも少なくありませんが、疑いがある場合には治療を開始することで、重症化を防げる場合もあります。早めの対応が命を守ることにつながります。
治療と回復のサポート
治療では、原因への対処とあわせて、症状を和らげるためのサポートも行われます。<原因に対する治療>
エンセファリトゾーンに対しては、抗原虫薬(例:フェバンテル、フェンベンダゾール)を使った治療を行います。投薬は数週間〜数ヶ月にわたることもあり、継続が重要です。
<症状に応じたサポート治療>
症状が強い場合には、抗炎症薬やビタミン剤、必要に応じて抗けいれん薬なども併用し、うさぎの負担を軽くする治療を行います。
<副作用と体調の変化に注意>
投薬中は、食欲や元気が落ちていないか、排泄や動きに異常がないかを日々観察することが大切です。副作用や体調の変化に気づいたら、すぐに動物病院に相談してください。
この病気は、治療に時間がかかることも多く、途中で不安になることもあるかもしれません。ですが、飼い主様の見守りと根気強いケアが、うさぎの安心と回復につながります。一緒に頑張っていきましょう。
ご家庭でのケアとサポート
治療に加えて、ご家庭でのサポートも回復に大きく関わります。日常の中でできる工夫を見ていきましょう。<安全な生活環境づくり>
ふらつきや斜頸があるうさぎには、滑りにくく、転んでも衝撃を吸収できるような床材(マットやカーペット)を使用しましょう。ケージ内はできるだけシンプルにし、角のあるものや頭をぶつけやすい物は取り除いてあげると安心です。
<食事と水分補給の工夫>
体調不良で食欲が落ちているときは、うさぎ用の流動食を使ったシリンジ給餌も有効です。脱水を防ぐためにも、水分補給はこまめに行いましょう。
<投薬の方法も工夫を>
お薬はシリンジで直接飲ませたり、おやつに混ぜたりする方法があります。うさぎの性格や好みに合った投薬方法を見つけることが、治療を継続するうえで重要です。ご不安な場合は、獣医師にご相談ください。
<ストレスを減らして観察を習慣に>
光や音などの刺激はなるべく控え、静かで安心できる環境を整えてあげましょう。日々の様子を観察し、小さな体調の変化もメモしておくと、異変に早く気づくことができます。
<自己判断は禁物>
市販の駆虫薬などを自己判断で使うのは、非常に危険です。症状がある場合は、必ず獣医師の診察を受けてから治療を始めましょう。
まとめ|「様子を見る」より「早めに相談」を
エンセファリトゾーン感染症は、うさぎに現れる神経症状の原因としてよく知られる病気のひとつですが、必ずしもすべての症状がこの病気によるものとは限りません。初期のサインは非常にわかりにくく、見過ごされやすいことも多いため、日頃からの観察と早めの相談が何より大切です。また、定期的な健康診断や、安心して過ごせる環境の整備も重要な役割を果たします。
特にうさぎを診療できる動物病院は限られているため、「なんとなく様子がおかしい」と感じた時点で、エキゾチックアニマルに対応している病院へ相談することをおすすめします。
まるこ未来動物病院では、うさぎの診療を行っており、早期診断・早期治療を重視した丁寧な対応を心がけています。
神経症状が見られたときは「様子を見よう」ではなく「何かのサインかもしれない」と受け止めて行動することが、うさぎの命を守る第一歩です。気になることがあれば、お気軽に当院にご相談ください。
東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】
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