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2025-10-10

愛犬が水をたくさん飲む?おしっこが増えた?脱毛?犬のクッシング症候群の症状と治療について

大田区、下丸子、矢口を中心に幅広い動物の診療を行う「まるこ未来動物病院」です。

中高齢の犬で「お水をたくさん飲む」「おしっこが増えた」「毛が薄くなって皮膚が赤い」といった変化が見られることがあります。加齢のせいと考えてしまいがちですが、その背景にある代表的な内分泌疾患のひとつが「クッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)」です。

私は約30年間の臨床経験を通じ、多くの犬とこの病気に向き合ってきました。その経験から強く感じるのは、診断の難しさと治療の継続の重要性です。

今回は、飼い主様に知っていただきたいクッシング症候群の基礎知識をお伝えします。


犬のクッシング症候群とは

クッシング症候群は、副腎から分泌される「コルチゾール(副腎皮質ホルモン)」が過剰に出ることで起こる病気です。コルチゾールは体の代謝や免疫、ストレス反応などに関わる重要なホルモンですが、過剰になると全身に負担をかけます。

発症は主に中〜高齢犬で、小型犬に多い傾向があります。病型は大きく2つに分けられます。

・下垂体性(約80〜85%)
脳の下垂体に腫瘍ができてACTHというホルモンが過剰に分泌され、副腎が刺激されすぎるタイプ。

・副腎性(約15〜20%)
副腎自体に腫瘍ができ、コルチゾールが直接過剰に分泌されるタイプ。

代表的な症状は次のとおりです。

多飲多尿(お水をがぶがぶ飲み、おしっこの量が増える)
食欲の増加
お腹が膨らんだ体型(腹部膨満)
脱毛や皮膚の薄さ、繰り返す皮膚炎
元気の低下、筋肉の衰え

年齢による変化と見分けがつきにくい症状が多いため、気づいたときには早めにご相談いただくことが大切です。


診断と鑑別の重要性

糖尿病や腎臓病、甲状腺機能低下症などでも、クッシング症候群に似た症状が見られることがあります。つまり、症状だけで判断するのは難しく、しっかりと病気を見分ける「鑑別診断」が欠かせません。私自身、30年以上の臨床経験の中で、この見極めの重要性を痛感してきました。

犬と猫の糖尿病についてはこちらで解説しています
犬の甲状腺機能低下症についてはこちらで解説しています

<どんな検査を行うのか>
正確な診断のために、いくつかの検査を組み合わせて行います。

血液検査:肝臓の数値やコレステロール値など、ホルモン過剰の影響を確認
ホルモン検査(ACTH刺激試験・デキサメタゾン抑制試験):体がホルモンにどう反応するかを調べ、確定診断につなげる
腹部エコー検査:副腎の大きさや腫瘍の有無をチェック
CT検査:必要に応じて、腫瘍の性質や広がりをより詳しく確認

これらを組み合わせることで、クッシング症候群かどうか、また下垂体性か副腎性かを見極めます。

<他の病気とどう区別するのか>
例えば糖尿病なら血糖値の異常、腎臓病なら腎機能の低下、甲状腺機能低下症なら元気のなさや体重増加が目立つなど、それぞれに特徴があります。こうした情報を丁寧に突き合わせながら、最終的に診断を確定していきます。

<セカンドオピニオンについて>
診断に時間がかかることもあり、飼い主様の中には「本当にこの病気なの?」と不安を感じられる方もいらっしゃいます。当院では、セカンドオピニオンを希望される飼い主様にもオープンな姿勢で対応しています。検査結果の説明や資料の共有なども行い、安心して治療を進められるようにサポートしています。


治療と長期管理

クッシング症候群の治療は、原因となるタイプによって方法が異なります。

<下垂体性の場合>
もっとも多いタイプで、脳の下垂体に腫瘍ができて副腎を刺激しすぎてしまうものです。治療はトリロスタンなどの薬でホルモンの出すぎを抑える方法が一般的です。腫瘍を直接取り除く手術は動物医療では難しいため、薬での管理が中心となります。

<副腎性の場合>
副腎そのものに腫瘍があるケースです。片側だけの良性腫瘍であれば外科手術で摘出することもありますが、高齢犬や他の病気を抱えている場合には手術リスクが高いため、薬でコントロールしていくケースも少なくありません

<共通して大切なこと>
治療を続けるうえで、どのタイプにも共通して押さえておきたいポイントがあります。

・長期的に続ける治療
治療は一度で終わらず、薬を長期的に続ける必要があります。効果はすぐには出にくく、少しずつ症状が落ち着いていく病気であることを理解していただくことが大切です。

・定期的な検査で安全を確認
薬には副作用が出ることもあるため、定期的な血液検査で体の状態を確認することが欠かせません。必要以上にホルモンを抑えすぎると「副腎皮質機能低下症」を招くおそれがあります。

・全身をみる総合的な管理
クッシング症候群の犬では、心臓病や腎臓病、糖尿病などを同時に抱えているケースも少なくありません。そのため、クッシング症候群だけでなく、全身の健康を総合的に管理することが大切です。

この病気は長期的な付き合いが必要ですが、適切な治療と定期的なフォローアップを重ねることで、愛犬の生活の質をしっかり守っていくことにつながります。


まとめ

犬のクッシング症候群は「お水をたくさん飲む」「おしっこの量が増える」といった日常の小さな変化から始まります。加齢と見分けがつきにくい症状ですが、検査によって正しく診断し、下垂体性か副腎性かを見極めれば、治療で症状をコントロールできる可能性があります。

大切なのは、日々の観察を怠らず「気になる変化があれば早めに相談すること」です。当院では、定期的な検査や丁寧なフォローアップを通じて、長期的な健康管理を支えています。


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東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】
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