2025-10-15
犬や猫の発作で慌てないために|突然の症状に備えるための正しい知識

大田区、下丸子、矢口を中心に幅広い動物の診療を行う「まるこ未来動物病院」です。
犬や猫と暮らす中で、飼い主様を動揺させる出来事のひとつとして挙げられるのが「発作」です。突然体が硬直したり震えたり、意識を失ったように見える姿は大変ショッキングで、多くの方が「命に関わるのでは?」と強い不安を感じるかと思います。
実際に発作を経験された飼い主様からは「すぐに抱き上げてよいの?」「救急病院に連れて行った方がいいの?」といった声をよく耳にします。
今回は、犬や猫の発作とは何か、そして起きたときにどう対応すべきかを獣医師の視点から詳しく解説します。
全身が硬直して手足を大きくバタつかせる場合もあれば、一瞬意識が途切れたように立ち止まるだけの軽いものもあります。必ずしも目立つ症状ばかりではないのが特徴です。
似ている症状として「虚脱」と「失神」があります。
・虚脱:体の力が抜けて倒れてしまう様子。痙攣や口の泡立ちは見られないのが特徴。
・失神:心臓の病気などが原因で脳に十分な血流が届かず、一時的に意識を失う状態。
一方で発作は痙攣や異常な行動を伴うことが多いため、まずはこれらの違いを知っておくことが診断や対処に役立ちます。
・脳の病気
てんかん、脳炎、脳腫瘍、外傷など。脳に異常が起きることで発作が引き起こされます。
・代謝性疾患
低血糖や肝臓・腎臓の障害によって体内に毒素がたまり、脳に影響を与えるケースです。
・中毒
チョコレートやキシリトールなど、人の食べ物や薬を誤って摂取したことが原因で発作が起こります。
原因が違えば治療法も再発リスクもまったく異なります。そのため「一度だけだから」と軽視せず、発作が見られたら早めに動物病院に相談することが大切です。
動物病院では、次のようなステップで原因を絞り込んでいきます。
▼問診と発作の記録
まず初めに重視するのが、飼い主様からの情報です。「どんな様子だったか」「何分くらい続いたか」「発作のあとにふらつきがあったか」などを伺います。動画やメモがあると診断の精度が大きく高まります。
▼血液検査
内臓の働きや代謝の異常を調べます。例えば低血糖や肝臓・腎臓の不調など、全身状態のトラブルが原因になっていないかを確認します。
▼画像検査(CT・MRI)
脳に腫瘍や炎症、外傷などの異常がないかを調べます。脳そのものに病変があるかどうかを判断するうえで欠かせない検査です。
▼心臓や循環器の検査
発作と似ている「失神」と区別するために行います。心臓の働きや血流に問題がないかを確認します。
こうして段階的に調べていくことで、てんかんなのか、代謝の異常なのか、心臓の問題なのかを一つひとつ切り分け、正確な診断に近づけていきます。
<まず落ち着いて確認すること>
発作に遭遇すると不安でいっぱいになりますが、冷静に観察することが大切です。
・安全を確保する
犬や猫は発作中に無意識で体を大きく動かします。家具や階段など危険なものから離してあげましょう。
・呼吸や意識の様子を見る
発作中に呼吸があるか、治まったあと意識が戻ってきているかを確認してください。これらは緊急性の判断にもつながります。
<発作時に避けたい行動>
良かれと思ってしてしまう行動が、かえって危険になることがあります。
・抱き上げない
痙攣中に抱き上げると落下やケガにつながるおそれがあります。安全な場所に寝かせて見守りましょう。
・口に手を入れない
舌を噛まないかと心配される方もいますが、意識がない状態で強く咬まれることがあり大変危険です。口の中には触れないようにしてください。
<動物病院を受診するタイミング>
次のような場合は、緊急度が高いためすぐに動物病院へご連絡ください。
・発作が5分以上続く
・短時間で繰り返し起こる
・発作後に意識が戻らない
<獣医師に伝えるべき情報>
診察では「どんな発作だったか」の情報が非常に重要です。以下を意識して記録していただくと、診断がスムーズになります。
◆動画を撮影する
撮影のときはできるだけ全身が映るようにすると、体の動きや呼吸の様子が分かりやすくなります。
◆発作の時間を記録する
「何時に始まって、何分続いたか」を書き留めましょう。ストップウォッチ機能や時計を使うと正確に残せます。
◆発作中や発作後の様子をメモする
以下の点を意識してチェックしてみましょう。
・体の動きが全身か一部(前足だけ、後ろ足だけなど)か
・泡を吹いたかどうか
・尿や便の失禁があったか
・発作後にふらつきや混乱がどのくらい続いたか
発作を目撃すると大きな不安に襲われるものですが、落ち着いて対応していただくことが診断や治療の大きな助けになります。気になる症状が見られたときは、早めに動物病院にご相談ください。私たちが一緒に状況を整理し、適切な対応につなげていきます。
「まずは安全の確保」「発作の様子を記録」「発作が続くときはすぐ受診」──この3点を覚えておくだけでも、いざというときに落ち着いて行動できるはずです。大切な家族を守るために、ぜひ普段から知識として備えておいていただければと思います。
発作に関して少しでも不安を感じられた際は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
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【獣医師が解説】愛犬が突然ふらつく、頭を傾ける…それ「前庭疾患」かもしれません
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犬や猫と暮らす中で、飼い主様を動揺させる出来事のひとつとして挙げられるのが「発作」です。突然体が硬直したり震えたり、意識を失ったように見える姿は大変ショッキングで、多くの方が「命に関わるのでは?」と強い不安を感じるかと思います。
実際に発作を経験された飼い主様からは「すぐに抱き上げてよいの?」「救急病院に連れて行った方がいいの?」といった声をよく耳にします。
今回は、犬や猫の発作とは何か、そして起きたときにどう対応すべきかを獣医師の視点から詳しく解説します。
犬・猫の発作とは
「発作」とは、脳や神経の一時的な異常な働きによって起こる症状を指します。全身が硬直して手足を大きくバタつかせる場合もあれば、一瞬意識が途切れたように立ち止まるだけの軽いものもあります。必ずしも目立つ症状ばかりではないのが特徴です。
似ている症状として「虚脱」と「失神」があります。
・虚脱:体の力が抜けて倒れてしまう様子。痙攣や口の泡立ちは見られないのが特徴。
・失神:心臓の病気などが原因で脳に十分な血流が届かず、一時的に意識を失う状態。
一方で発作は痙攣や異常な行動を伴うことが多いため、まずはこれらの違いを知っておくことが診断や対処に役立ちます。
発作の種類と原因
犬や猫の発作にはいくつかの原因があります。症状の表れ方も幅広く、それぞれ対応が異なるため、まずは代表的なものを知っておきましょう。・脳の病気
てんかん、脳炎、脳腫瘍、外傷など。脳に異常が起きることで発作が引き起こされます。
・代謝性疾患
低血糖や肝臓・腎臓の障害によって体内に毒素がたまり、脳に影響を与えるケースです。
・中毒
チョコレートやキシリトールなど、人の食べ物や薬を誤って摂取したことが原因で発作が起こります。
原因が違えば治療法も再発リスクもまったく異なります。そのため「一度だけだから」と軽視せず、発作が見られたら早めに動物病院に相談することが大切です。
診断までの流れ
発作は数分以内で治まってしまうことが多く、病院で実際の様子を直接見るのは難しい症状です。だからこそ、飼い主様が目撃した情報が診断にとても大切な手がかりになります。動物病院では、次のようなステップで原因を絞り込んでいきます。
▼問診と発作の記録
まず初めに重視するのが、飼い主様からの情報です。「どんな様子だったか」「何分くらい続いたか」「発作のあとにふらつきがあったか」などを伺います。動画やメモがあると診断の精度が大きく高まります。
▼血液検査
内臓の働きや代謝の異常を調べます。例えば低血糖や肝臓・腎臓の不調など、全身状態のトラブルが原因になっていないかを確認します。
▼画像検査(CT・MRI)
脳に腫瘍や炎症、外傷などの異常がないかを調べます。脳そのものに病変があるかどうかを判断するうえで欠かせない検査です。
▼心臓や循環器の検査
発作と似ている「失神」と区別するために行います。心臓の働きや血流に問題がないかを確認します。
こうして段階的に調べていくことで、てんかんなのか、代謝の異常なのか、心臓の問題なのかを一つひとつ切り分け、正確な診断に近づけていきます。
発作が起きた時の対処法
突然の発作に直面すると、多くの飼い主様が強い動揺を覚えます。大切なのは、まず飼い主様ご自身が落ち着くことです。慌てずに次のステップを意識しましょう。<まず落ち着いて確認すること>
発作に遭遇すると不安でいっぱいになりますが、冷静に観察することが大切です。
・安全を確保する
犬や猫は発作中に無意識で体を大きく動かします。家具や階段など危険なものから離してあげましょう。
・呼吸や意識の様子を見る
発作中に呼吸があるか、治まったあと意識が戻ってきているかを確認してください。これらは緊急性の判断にもつながります。
<発作時に避けたい行動>
良かれと思ってしてしまう行動が、かえって危険になることがあります。
・抱き上げない
痙攣中に抱き上げると落下やケガにつながるおそれがあります。安全な場所に寝かせて見守りましょう。
・口に手を入れない
舌を噛まないかと心配される方もいますが、意識がない状態で強く咬まれることがあり大変危険です。口の中には触れないようにしてください。
<動物病院を受診するタイミング>
次のような場合は、緊急度が高いためすぐに動物病院へご連絡ください。
・発作が5分以上続く
・短時間で繰り返し起こる
・発作後に意識が戻らない
<獣医師に伝えるべき情報>
診察では「どんな発作だったか」の情報が非常に重要です。以下を意識して記録していただくと、診断がスムーズになります。
◆動画を撮影する
撮影のときはできるだけ全身が映るようにすると、体の動きや呼吸の様子が分かりやすくなります。
◆発作の時間を記録する
「何時に始まって、何分続いたか」を書き留めましょう。ストップウォッチ機能や時計を使うと正確に残せます。
◆発作中や発作後の様子をメモする
以下の点を意識してチェックしてみましょう。
・体の動きが全身か一部(前足だけ、後ろ足だけなど)か
・泡を吹いたかどうか
・尿や便の失禁があったか
・発作後にふらつきや混乱がどのくらい続いたか
発作を目撃すると大きな不安に襲われるものですが、落ち着いて対応していただくことが診断や治療の大きな助けになります。気になる症状が見られたときは、早めに動物病院にご相談ください。私たちが一緒に状況を整理し、適切な対応につなげていきます。
まとめ
犬や猫の発作は突然起こり、飼い主様に強い不安を与えます。ですが、発作の特徴や原因を知り、冷静に対処できれば、その後の診断や治療に大きく役立ちます。「まずは安全の確保」「発作の様子を記録」「発作が続くときはすぐ受診」──この3点を覚えておくだけでも、いざというときに落ち着いて行動できるはずです。大切な家族を守るために、ぜひ普段から知識として備えておいていただければと思います。
発作に関して少しでも不安を感じられた際は、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
■関連する記事はこちらです
【獣医師が解説】愛犬が突然ふらつく、頭を傾ける…それ「前庭疾患」かもしれません
東京都大田区下丸子で、犬・猫・フェレット・ウサギ・小動物・鳥・魚まで、幅広い動物の診療を行っている【まるこ未来動物病院】
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