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2025-10-15

呼吸の異常から読み取る愛犬・愛猫の健康状態と緊急度判断

大田区、下丸子、矢口を中心に幅広い動物の診療を行う「まるこ未来動物病院」です。

犬や猫は言葉で体調を訴えることができません。そのため「呼吸が早い」「苦しそうに見える」といった変化は、飼い主様が異常に気づくことができる重要なサインです。

呼吸は命に直結する機能であり、呼吸器の異常は見た目以上に重い病気のサインであることも少なくありません。

今回は、犬や猫の呼吸異常を見分けるポイントや受診のタイミング、代表的な病気と治療法についてご紹介します。


呼吸が早い=危険?よくある原因と見分け方

愛犬・愛猫の呼吸が早くなると「大丈夫かな?」と不安になる飼い主様も多いかと思います。ですが、呼吸が速くなる理由は必ずしも深刻な病気だけではありません。

・暑さや運動のあと
特に犬は体温調節を口呼吸で行うため、暑いときや運動後にハアハアと呼吸が速くなるのは自然なことです。

・興奮や恐怖
遊びや緊張した出来事のあとに、一時的に呼吸数が増えることもあります。

・痛みがあるとき
お腹の痛みや関節痛、けがなどでも体が酸素を取り込もうとして呼吸が早くなることがあります。

このように、呼吸の速さは日常の中でもよく見られる変化です。まずは「一時的なものかどうか」をなるべく冷静に観察するようにしましょう。

一方で、安静にしているときでも呼吸が苦しそうに見える場合や、体全体を使って大きく呼吸している場合には注意が必要です。


病院に行くべきタイミングは?緊急性の見極めポイント

「呼吸が早い」と感じたとき、まず基準となるのは普段の呼吸数です。寝ているときにお腹や胸の上下をそっと数えてみると分かりやすいでしょう。

以下の健康なときの目安を大きく上回る呼吸が安静時にも続く場合は、何らかの異常が隠れていることがあります。

:1分間に15〜30回程度
:1分間に20〜30回程度

さらに、呼吸の仕方そのものが普段と違っていないかも大切なチェックポイントです。
次のような様子が見られる場合は、ただちに動物病院へご相談ください。

お腹の筋肉に力を入れている(腹筋で呼吸しているように見える)
首をぐっと伸ばして前足を踏ん張っている
舌や歯ぐきが青紫色に見える(チアノーゼ)
発作のように倒れる、意識がもうろうとする

呼吸は生命に直結するサインです。「ちょっと変だな」と直感的に思ったときに早めに受診することが、愛犬・愛猫の命を守ることにつながります。


呼吸が苦しそうなときに考えられる主な病気

呼吸が乱れる背景には、実にさまざまな病気が隠れています。ここでは代表的なものをご紹介します。

・心臓病(僧帽弁閉鎖不全症・心筋症など)
心臓の働きが弱ると、肺に水がたまって呼吸が浅く速くなります。特にシニア期の犬や猫では注意が必要で「最近よく咳をする」「夜に苦しそうに呼吸する」といった症状で気づかれることもあります。

・肺炎や気管支炎
細菌やウイルスなどの感染、あるいは炎症が原因で呼吸が荒くなります。咳や発熱を伴うことも多く「風邪かな」と思っているうちに悪化するケースも少なくありません。

・気管虚脱(犬で多い)
気管が押しつぶされるように狭くなり、空気が通りにくくなる病気です。特徴的なのは「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような呼吸音で、小型犬でよく見られます。

犬の気管虚脱についてはこちらで解説しています

・猫の喘息
発作的に咳き込み、呼吸困難を繰り返す病気です。軽く見えても急に悪化して命に関わることがあるため、早めの診断が重要です。

・胸水や胸腔内の腫瘍
胸の中に水がたまったり腫瘍ができたりすると、肺が十分に膨らまず、呼吸数が増えてしまいます。症状がじわじわ進むこともあり、見逃されやすいタイプです。

犬の肺水腫についてはこちらで解説しています

呼吸の異常につながる病気には、進行すると命に関わるものもあれば、治療によって安定を保てるものもあります。「なんだか苦しそうだな」と感じたら、早めに動物病院へご相談いただくのが安心です。


診断方法と治療方法

犬や猫が呼吸に異常を示している場合、獣医師はまず呼吸の仕方をよく観察します。息が浅いのか深いのか、胸やお腹の動きに無理がないか、聴診器で心臓や肺の音を確かめることから始まります。

そのうえで、原因を探るために次のような検査を行います。

レントゲン検査:肺や心臓の形や大きさ、胸に水がたまっていないかを確認します
心エコー検査:心臓病が疑われる場合に、心臓の動きや弁の状態を詳しく評価します
血液検査:炎症や酸素不足による影響を調べ、体全体への負担を把握します
CT検査:腫瘍や胸腔内の異常が疑われるときに、より精密に確認します

検査で原因を見極めたあとは、その子の状態に応じた治療を行います。

心臓病:利尿薬や心臓の薬を使い、心臓と肺の負担を減らします
肺炎や気管支炎:抗菌薬や消炎薬で炎症を抑えます
気管虚脱:軽度であれば薬で管理し、重度の場合は外科的に矯正することもあります
猫の喘息:吸入薬や内服薬を用いて発作を予防します
胸水:胸腔穿刺という処置で溜まった水を抜きます

呼吸がとても苦しそうなときには、まず酸素室で呼吸を安定させてから治療を始めることもあります。


ご家庭でできる予防と日常の工夫

呼吸の異常は突然起こることもありますが、日頃のちょっとした工夫でリスクを減らすことができます。特にシニア期を迎えた犬や猫では、日常の観察と予防がとても大切です。

・普段の呼吸数を数える習慣をつける
安静時の呼吸数を把握しておくと、体調の変化に早く気づけます。

・暑い時期は熱中症予防を徹底する
室温管理や水分補給を意識して、呼吸が荒くなる前に環境を整えてあげましょう。

・体重管理を心がける
肥満は呼吸や心臓への負担を増やします。適正体重を保つことは、呼吸の健康を守る基本です。

・定期健診を受ける
心臓や肺の異常は進行するまで気づきにくいこともあります。定期的な健康チェックで早期発見につなげましょう。

犬・猫の健康診断についてはこちらで解説しています

・動画で記録を残す
「少し息苦しそう」と感じたら、スマートフォンなどで短くても動画を撮影しておくと診察時に役立ちます。

こうした小さな積み重ねが、愛犬・愛猫の健康を守る大きな力になります。


まとめ

呼吸の異常は一見すると一時的な変化に思えることもありますが、その裏には心臓・肺・気管など、さまざまな臓器の不調が隠れていることがあります。

大切なのは「様子を見すぎないこと」です。「おかしいな」と感じたときに早めに受診していただくことで、治療やケアの選択肢を広げることができます。

当院では呼吸器疾患の診療経験を豊富に積んだ獣医師が、丁寧な診察とわかりやすい説明でご家族と一緒に治療方針を考えていきます。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。


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