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2024-02-02

フェレットのインスリノーマについて|三大腫瘍とよばれる病気の1つ

インスリノーマとは膵臓に腫瘍ができることでインスリンが過剰に分泌してしまい、血糖値が低下する病気です。主に3~4歳以上のフェレットに多いため、副腎腫瘍やリンパ腫などが併発しているケースもあります。

今回はフェレットのインスリノーマについて詳しく解説していきます。


原因

インスリノーマが発生するはっきりとした原因は完全に解明されていませんが、考えられるいくつかの要因をご紹介します。

年齢
特に4~5歳以上のフェレットに発生する確率が高く、年齢が上がるにつれてリスクも増加します。

遺伝
もし親や兄弟にこの疾患が存在する場合、リスクが高まる可能性があります。

食事
高糖質、高脂肪の食事はインスリンの分泌を促進し、それが長期間続くと腫瘍が発生しやすくなると言われています。

それ以外にも、ストレスやホルモンバランスの崩れなども、インスリノーマと関連していると考えられています。

通常であれば、膵臓のβ細胞からインスリンという血糖値を下げるホルモンを分泌され、インスリンがバランスよく分泌されることで、体内の血糖値がコントロールされて正常な状態を保っています。ところがβ細胞が腫瘍化すると、多量にインスリンが分泌されるため血糖値が下がりすぎて、低血糖の症状をおこします。


症状

低血糖に伴うふらつき(特に後ろ足)元気消失よだれ口の中をひっかくような動作よく眠る体温が低い体重が減るなどの症状があらわれます。
中高齢のフェレットに起こる病気であるため、飼い主様は老化が原因と判断してしまうことが多く、気づかないうちに進行してしまうことがあります。

重度の低血糖では痙攣や発作、昏睡状態に陥り最悪の場合、命に関わります


診断方法

インスリノーマの診断にはいくつかの方法があります。
まずは、問診を行いペットの現在の症状について詳細を確認します。そして、インスリノーマの可能性があると診断した時には、いくつかの検査を行っていきます。

血液検査で絶食時の血糖値が60mg/dL以下でインスリノーマと診断します。また、インスリン濃度と糖化アルブミンを併せて調べることで診断精度を高めます。

さらに診断的治療として、手術で摘出した腫瘍を専門機関で検査することもあります。


治療方法

インスリノーマの治療には外科治療、服薬、食事管理、があり、症状や腫瘍の進行度に応じて変わりますので、それぞれ紹介していきます。

内科治療
基本的にインスリノーマは多発するので、まずは服薬での内科治療を選択することが中心です。
まずは、血糖値を上昇させる効果がある薬を用います。しかし、それだけでは血糖値をコントロールできない場合、インスリン分泌を抑制する薬も併用して使用します。
いずれの薬も血糖値を上昇させる効果のみで、腫瘍を縮小することはできません

外科手術
年齢が若い場合(5歳未満程度)や内科治療で副作用が大きく出てしまう場合、ステロイドの反応が悪い場合には外科治療を選択する場合もあります。
根本的な解決法に思えますが、腫瘍を摘出しても術後に血糖値が安定しないケースがあります。これは、肉眼的に確認できないレベルの微小な腫瘍が膵臓全体に広がっているためと考えられています。

食事管理
糖質は血糖値を上昇させインスリン分泌を促進するため極力与えないようにします。基本的にはタンパク質メインの食事とし糖質は適度に与え、一日を通してしっかりと食べさせます。食事量が不十分な場合には、ふやかした食事やシリンジなどで強制的にごはんをあげることが必要です。


予防方法やご家庭での注意点

低血糖の症状には、元気がない、寝ている時間が長いなどがあり、加齢によるものと見分けることが難しいです。特にインスリノーマは高齢のフェレットに多いため、年だからと見逃してしまわないようにしましょう

また、インスリノーマのフェレットに対し血糖値を上げる目的で甘いものやフェレットバイトをあげすぎないようにしましょう。血糖値の急上昇によりインスリンが過剰分泌され、反動で血糖値が急降下します。(痙攣や発作などの緊急時は除きます)

低血糖による神経障害のために筋肉が弱くなって歩けなくなってしまうことが多いです。そのため、できるだけ動けるときには運動をさせてあげることも大切です。


まとめ

インスリノーマは完治しない進行性の疾患のため、生涯を通じて付き合う必要があります。自己判断で薬を増やしたり減らしたりせず、指示された投薬量を守りましょう。
血糖値が安定していれば、臨床症状が改善し長期生存も見込める疾患です。病気をよく理解し、定期的な受診を心がけましょう

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